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母娘(ははこ)御膳 第16話「歳末」

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「宙(そら)!」年の瀬の、社長室に続く「隠し部屋」で、部屋の主 花井 妙(はない・たえ)は、予想もしなかった大胆な挙に出た次女 宙の事を本気で睨みつけ、激しく罵った。普段は、自然に出る「ちゃん」の後付けもない。

彼女は、母の非常勤の部下である予備校生 阿久比 周(あぐい・あまね)の男精を横取りした上、それにつき、当然の所作となる、己が生まれ落ちた母の秘花を舐め回したからである。その時の妙には、宙の行為への嫉妬の様な何かがあったのだろうか。

「初美さん、有難う」母に抗弁する前に、宙は、居合わせた業務主任 伊野初美(いの・はつみ)に、軽く一礼をした。その上で・・

「母さん、怒らないでよ。前だって、佐分利学院の理事長先生と好い仲の時季があったじゃないの。だったら、今日のは大した事じゃない。周さんは、そりゃあたしに芳しくない事をしもしたけど、今は憧れてるの。それに、さっきの事を、抵抗なくできたのは、初美さんのお蔭よ」

「ふふ・・まあ余り持ち上げないで。あたしも、お調子者のとこがあるから、好い気になり過ぎてもいけないから」初美、謙虚を装い、こう返す。「宙ちゃん、一言良いか?」周が口を開く。「いいわ、何かしら?」彼女が返すと「俺も、本気でお母さんの事 想ってた訳じゃない。ただ、師として、先生として敬愛してたって事だ。言い訳かも知れんが、これは『一種の授業』だったんだ。無理かもだけど、そう理解してくれると嬉しいな」と応じ。

宙「授業ねぇ。ま・・良いでしょう。全部許す訳じゃないけどね。一応さぁ、あたしの要求通り、再現してもらえたから、まず、音声アプリは破棄しましょう。たださ、ウチのあたしの部屋の回線傍受ができる仕掛けは、当分は残した方がいいんじゃない?だって、会社で何かあった時に、二ヶ所以上で察知ができる様にしといた方が良いでしょ」と来た。

母「うん。まあ、良いでしょう。じゃ、まず、あたしの見てるとこで破棄してね。初ちゃんと周君も丁度良いわ。立ち会って、二人共見ててね」 「了解しました」かくして、服装を直した四人の眼前で、妙と周の秘事を記録した、音声アプリが破棄された。これで、とりあえずはネットへの流出が防げた訳だが、勿論、物語はこれで終わりではない。

「良いお年を!」交替制とは言え、年末年始も無休の、保安課への挨拶の後、5:30pmを過ぎ、一行は、会社近くで食事後に解散と言う事になった。妙の馴染みの洋食処で、彼女と初美は赤ワインを嗜んだ。酒気の許されない宙と周は、ジンジャー・エール。周は、好物のハンバーグ・セット、女性三名はミックス・フライのこれもセットである。

「じゃ、本当の、今年の終わりに、乾杯!」妙の音頭でグラスを合せ、暫くは、食事を進めながら世間一般や、この年一年の雑事などで談笑。途中、妙が「周君は、お正月、親御さんの所へ帰るのかな?」訊くと、彼は「はい、大晦日と元日は帰ります。三日からは、初詣やこちらの用事があるし、四日からは、学院の受験直前対策がありますから」と返し。「忙しいね。でも、ご実家は三河の方だったから、そんなに遠くないから良いね」 「そうですね。お蔭様で、その所は助かってます」

宙「初美さんは?」訊くと彼女は「あたしは、明日午前から年明けの三日まで。五日が始業だから、間の四日は自分とこの雑用ね」と返し。妙が「貴女も、隣のF県だから、そう遠くないわね」と声をかければ「そうですね。ここからJRの乗換なしで30分位。あ、周君より近い・・か」こう返し、微笑む。

周「本当に、一年って早いです。最近、特にそう感じます。年明けも、瞬く間に入試が続くんだろうなあ」と言えば、初美が「大人になると、もっと早いわよ。あたしなんかは、大学にいたのが、ついこの間みたいでね」と返し、笑う。眺める周「素敵な笑顔の方だ」とふと思うも、宙や妙の事もあり、その想いを振り払う。宙「それ、あたしも同じなんですね。ああ、若い時って短いんだなあ」と、嘆く様に言い。

周「まあ、要は無意味に過ごさなきゃ良いんだ。その積み重ねが、社長みたいな方とかの地位に繋がってたりして。好い努力目標だと思うな」と言うと、宙「まあ、難もそれなりだけど、周さんの話も、半分は本当だね」と返すなどして、夕食の席は、一時間余りで幕となった。

「初美さん、良いお年を!」 「有難う、皆さんも!」帰途、四人は、同じタクシーに乗り、初美、周、運賃を負担する妙と宙親子の順で降りた。前席にいた周が居所前で降りる時、後席左にいた宙は、彼を手招き「今年、母さんに習った事、あたしに教えて。きっとだよ」と耳打ち。「分った。良いだろう」彼は、耳打ちで返した。「社長、良いお年を!」 「周君もね!」当然の歳末挨拶だったが「正月は宜しくお願いします!」は、宙に伏せておくべき事とて、やはり言えなかった。

12/30の金曜も、終日晴天。この日午前で、この年の学院全教科が終わる。高等科生 豊野 豊(とよの・ゆたか)は、教科を終えた後、そのままJR中央駅から、郷里のM県下へ向かう。我国最大の K半島東部に位置する、北紀と言う林業と漁業の町で、特急「紀伊」号が約二時間強で結んでいる。ここは、海鮮の見事さが全国に知られ、又、風光に優れた事から、周の憧れの土地でもあった。豊はそれを察し「阿久比さんの進路が決まったら、一度ご案内しましょう」と誘っていた。彼は、1pm少し前に発つ「紀伊5号」に乗る手筈(てはず)となっている。

周と豊は、教科を終え次第、学院階下のロビーで落合い、周の馴染みの中華店で昼食後、JR中央駅へ向かう事にしていた。一つ意外だったのは、朝方登院した時、二人の事が、宙に知られていた事だったが、周は、敢えて訊かない事にした。
正午少し前、午前の教科を終えた、セーターにジーンズ、ブルゾンにスニーカーなど、平装の三人は、学院ロビーに集まると、その足で昼食処へ。普段なら、周辺の企業のサラリー・マンなどで行列が生じる事も間々あるが、この日は歳末期間に入った事もあり、割合すんなり席に着けた。

三人は、生ものを避け、炒飯に餃子、搾菜で昼食を。「今日は、一定大蒜(にんにく)が入ってても、平気だから良いよなー!」と、周が冗談交じりで言えば「そうですねー、一応お休みだからー!」他の二人が、笑顔で応じる。食事を進めながら彼は「そうか、あの時年末の挨拶をしなかったのは、今日の為だったのか・・」と、ふと思い。

12:30pm過ぎ、周は、豊に持たせる缶コーヒーや乾物などを、コンビニ店で買った後、JR中央駅へ。宙に「今日は、俺たちも途中まで中央西線で帰ろう。そこから地下鉄でも、直ぐだもんな」と声かけ。宙は「良いよ。それで帰ろう」と応じ。出発まで十分弱、列車は既にプラット・フォームで待機中。電車ではない、ディーゼル動力の気動車編成。停まっていても、結構な賑やかさだ。

一旦、普通指定席に落ち着いた豊は、乗降台(デッキ)越しに言った。「花井さんに阿久比さん、年明けは勝負ですね。新年は、お元気でつつがなく迎えて下さい!」 「有難う!」 「お前モナー!」宙、周もそれぞれこう返し。「お待たせしました。特急『紀伊5号』間もなく発車です。お見送りのお客様は、フォームまでお下がり下さい」出発が告げられ、豊は列車の乗降台、宙と周は、プラット・フォーム点字黄線の内側に分れ。

「乗車終了、出発準備よし!」乗務員の号令下、近年増えた、ドア・チャイムを合図に扉が締められ、施錠される。黙礼を交わす三人。制動(ブレーキ)の解かれるエアの動作音と前後して、エンジンが唸(うな)りを上げ、特急「紀伊5号」は、勇壮に滑り出す。実はこの時、周も豊も「年始は宜しくお願いします!」の言葉を喉まで出しかけて、宙がいる事に気付き、辛うじて思い留まったのであった。

見送る周「ああ、良かった・・」一瞬、胸をなで下ろす。これから、宙にも「良い年を!」の挨拶を経て、己も帰省しなければならない。別の番線から発つ、中央西線のプラット・フォームへ向かう二人を横目に、豊を乗せた、満席に近い特急が出て行く。「お前たちが、大声で言えない企(たくら)みをするからだ!」遠ざかる、ディーゼル・エンジンの響きが、そう語っている様に聞こえた。
(つづく 本稿はフィクションであります。JR列車名を含む)

今回の人物壁紙 神咲詩織
久石 譲さんの今回楽曲「シー・オブ・ブルー(Sea of Blue)」下記タイトルです。
Sea of Blue
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