FC2ブログ

記事一覧

母娘(ははこ)御膳 第39話「推察」

IMG_3925.jpg
「男の勘・・ですか?」ぼそりと、周(あまね)が返す。聞いた結(ゆい)「そうよ。君は、直ぐには気が付かない性格かもだけど、まあいいわ。帰ってからでも、少し考えてみるといいかもね」こう応じ。周「はい、有難うございます。そうですね、世の中には、自分がすぐには気がつかない事も、幾つかありますし」 「そうそう。一定はそれでいいんだけど・・でも、できれば少なくする努力をした方が、幸せに近づける機会(チャンス)は多くなるかもよ」結はこう言い、再び微笑んだ。

「ご馳走様でした!」結の奢りで店を出て、夕方に差し掛かり、混雑の始まったN市営地下鉄6号線。一本を見送って、どうにか着座。中心街 栄町北方でN市内の下を周回する2号線に乗換え、そこから10分足らずで、結の下車駅へ。もう暗い故、例によって、花井邸の玄関まで見送り、解散。「周、いつも悪いわね」結が言うと「いえいえ、気になりませんからいいですよ」周、笑って返し。

その時「余り気を遣わない様に。あたしたちは、もう師弟じゃないのよ」 「・・ですね。分ります」こう返した瞬間、周の心の琴線に、響く言葉があった。「師弟でない・・て事は、もしかして『男と女?』・・そうか!」そして「結さん・・」声をかける。「はい、何?」返す彼女に「男の勘と言う事、少し分った気がします。でも・・」 「でも・・何かしら?」 「今は、それ以上言わない方が良い気がします」 「うんうん、それがいいわ。じゃ、この土曜は宜しくね!」 「はい、今日は有難うございました!」一礼し、周は結の下を辞した。

夕食の買い物をして居所へ戻り、入浴と食事が済むと、周はLINEで、後輩の豊(ゆたか)と連絡を試みる。少しおいて、返信を得る。「豊、今晩は。この前は大いに世話になった。今、時間いいか?」 「ああ、阿久比(あぐい)さん、お晩です。ご連絡感謝。余りお構いできなかったかも。いいですよ、どうぞ」 「実はな・・」 「はい・・」

周は続ける。「この土曜の夕方、花井社長・・つまり妙(たえ)先生な・・のお宅に呼ばれてて、どうも小町、結の両先生もご一緒らしいんだ。もしかすると、宙(そら)ちゃんもな。お前、この件、何か知ってる?」豊「阿久比さん。よく訊いて下さいました。知ってるどころか、俺も同タイミングで呼ばれているんです」 「ハハ、お前もか。まあ、賑やかになりそうで良いな。所で、あの顔ぶれだと、例の事態がありそうだと思うが、お前の感じはどう?」 「・・ですね。実は、俺も同じ事を考えていたんです。妙・小町の両先生と来れば、あの方の可能性は十分考えられますね」

「そうか、やっぱり・・」こう言って、周は一度深呼吸をし、更に続ける。「ただ、今度は結先生や宙ちゃんも一緒かもだ。もっと大きな事になりそうな予感もあるな」 「ああ、そんなですか。阿久比さんのお話通りなら、それも有りかもですね。考えといた方がいいかな?」 「まあ、それはその時になってみにゃ分らん。それに、妙先生んちは、客間が他にもありそうだから、まずそっちの心配はなしだろうけど」 

豊「阿久比さん、言葉は悪いかもですが、つまり『ヤリ部屋』って事ですか?」 周「まあそう言う事だ。長くなってもいかん。この辺にしとくが、土曜の約束時間は分るな」 「ええ、5pmまでに伺うって事で聞いてます」 「OK。じゃ、当日はそう言う事で、宜しく」 「はい、こちらこそ宜しくお願いします」交信ここまで。

3/25の土曜は、曇りの一日。夜からは、降雨の予報も出ていた。大学進学も決まり、束の間の緩やかな時間に恵まれた周は、以前よりゆっくり目に起床す。曇天ではあるが、受験で十分にできず、溜まっていた居所の掃除、洗濯などを午後早くまでこなし、その後、近所の馴染み所へ昼食に。コーヒーなどは、自分で用意しても良かったが、この日は食事の折にした。肉野菜炒めの昼定食を嗜み、食後のコーヒー片手に、スポーツ紙とスマート・ホン画面に交互に目を走らせていた所に、「いらっしゃいませ」の静かな、しかし凛とした挨拶と共に、人の気配。「周さん・・」宙がやって来たのだ。

「おお、宙ちゃん・・」周、彼女に向け一礼。「今日は何?買い物か?」 「ええ、近くまで来たから。LINEしようと思ったんだけど、もしかしたら、ここにいるかな?と思ったの。案の定だったわ」 「ハハ、そりゃ良かった。何か飲んでくか?」 「うん、それで」と返して宙、注文を受けに来た女性スタッフに「ああ、あたし、ココアお願いしますね」 「はい、有難うございます」そして、周の向かいに席を取る。

「実は・・」周が切り出す。「今日の夕方、お母さんに呼ばれててさ、この後行こうかと思ってたんだ」 「うん、あたしも聞いてたよ。小町先生と豊君も来るらしいね。何なら、早めに行ったって良いわよ」 「・・そうか。そう言う事なら」宙の言葉に従い、早めに出かけようとも考える周であった。

実は、宙はこれに先立ち、この土曜夜に何がありそうかを、ざっと姉の結から聞かされていた。結「ホント、母さんたら、もう一度 周を狙ってるみたいなの。小町先生にも来てもらって、彼の大学合格祝いって理由つけて、言わば二人で彼の『男』を味見しようって狙いね。で、小町先生は、そのドサクサに紛れて、豊まで巻き込んで楽しもうって魂胆だろうね。多分、そんなとこだわ」 

宙「ハハ、それって、随分不純な魂胆ね」 結「そう、正にその通りよ。今度はね、わざとあたしたちがいる時にやろうとしてるでしょ。もしかして、一緒に参加しろって意味かしらね?豊なんかは、小町先生とはもう深いお付き合いはしたくない・・とか言ってるらしいけど」 「ああ、彼はU18だからね。それで懲りてるのかも知れないわね」 「とに角、周だけでも、母さんから手を引かせないといけないわ。で、あたしにちょっと考えがあるんだけど」 「はい、聞きましょう」以下、姉妹の問答の中身は、後程記す事としたい。

「俺んとこ、寄るか?」食事が完全に終ると、周は、宙にこう訊いた。「ええ、ちょっとの間、寄せてもらうわ。少しお話もしたいし」こう返し。実は、周の居所に立ち寄る本当の目的は、この夜の計画に備えて、居室や浴室などの様子を見る事にあった。

「よしっ、それなら・・」周は立ち上がり、精算を図る、宙の手を制した。「ここは、任しとけ!」 「有難う」二人分の精算をして、一度居所へと戻る。落ち着くと、コーヒーを二杯入れ、宙にも勧める。「ホント、今日は久し振りで、栄町でゆっくり買い物ができたわ」 「そりゃ良かった。何なら、呼んでくれりゃ、俺の方から行ったけど」 「うん。でも、たまには一人で見て周りたい所もあるからね」 「ああ、それもあるな。東急ハンズのTV塔前店なんかは、特にそうかも」 「・・でしょ!」 「ああ、分る」FMラジオ放送の流れる部屋で、暫く談笑して過ごす。

「周さん・・」 「はい・・」 「ちょっとの間、WC借りるね」 「OK。照明は分るな?」 「ええ・・」十数分の間、宙は席を外す。周は別段、気にも留めなかったのだが、その間に彼女は、浴室や化粧台、台所にPCやネット機器の控える、少し前までの勉強部屋などを詳しく観察していた。「うん、夜の計画には十分だわ」戻った宙、少し化粧直しを施し、魅力が増して見えた。「やっぱりそうか・・」周は、全く疑わなかった。

「さて・・」4:30pm近く。「少し早めかもだが・・」 「うん」 「そろそろ行こうか」 「そうだね」 「自転車が使えんのが残念だが」 「必要ないよ。何故かは、後で分るわ」 「そうか、分った」 「うん、それじゃ・・」正装に替え、着替えのトレーナーや下着、洗面具とかを詰めたバッグを携えた周、同じく買い物を詰めたバッグを手に、春物の上衣と長めのアンダー、普段物のパンプスで装った宙を伴い、居所を発つ。N市営地下鉄で直ぐ隣までの、短い距離だが、この日の彼には、長めの行程に思えた。「一体、今夜はどうなる事やら・・」
(つづく 本稿はフィクションであります)

今回の壁紙 近畿日本鉄道 米野駅西詰 名古屋市中村区(左奥の建物が、物語中 A大学のモデル 愛知大学 新校舎の一部) 2017=H29,4 撮影 筆者
久石 譲さんの今回楽曲「春(Spring)」下記タイトルです。
スポンサーサイト
[PR]

コメント

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

hakase32

Author:hakase32
愛知県在住の後半生男です。恐れながら、主に18歳以上限定内容を記して参ります。

お手数ですが、拙各稿を初めからお読み下さる場合は、下方にあります月間アーカイブ他のご利用をお願い致します。
他ブログを含め、拙記事の無断転用及び引用は ご遠慮下さい。

下記ランキングに参加しております。
クリックをお願いできれば幸いです。

官能小説ランキング

アクセスカウンター

愛と官能の美学

Shyrockさんの R18読み物集。他の作者各位も多数リンクされています。入口は、下記タイトルです。

赤星直也のエロ小説

赤星直也さんの R18読み物集。入口は、下記タイトルです。

未知の星

赤星直也さんの R18読み物集もう一つ。他の各位の作品も収録されます。

Mikiko's Room

Mikikoさんの、カテゴリー豊富な R18読み物集。独自視点の旅日記も好感です。

Adult Novels Search

R18 読み物の検索サイトです。

ブロとも一覧

拙バナーです

知人様より、優れたバナーを賜りました。必要時はご利用を Produced by Shyrock

もう一つの 拙バナーです

知人様ご厚意により、拙バナー追加編も賜りました。必要時はご利用を。 Produced by Shyrock

清き一票を(笑)

下記ランキングに参加しております。

日本ブログ村バナー


にほんブログ村 →できますれば、こちらも応援を・・

天気予報


-天気予報コム- -FC2-

月別アーカイブ

これまでの拙連載「想いでの山峡(やまかい)~林間学級の秘密(2016=H28,9~10)」と「轍(わだち)~それから(2016=H28,11~2017=H29,2)」  「母娘(ははこ)御膳(2017=H29,3~6)」  「南へ・・(2017=H29,6~8)」 「交感旅情(2017=H29,9~12)」 「パノラマカーと変な犬(2018=H30,1~5)」  「ちょっと入淫(2018=H30,6~10)」 「情事の時刻表(2018=H30,11~2019=R1,6)」 「レディオ・アンカーの幻影(2019=R1,11~2020=R2,5)」も お読み頂けます。