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想いでの山峡(やまかい)~林間学級の秘密 第20話「警音」

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「初ちゃん」香緒里は言った。「初めにね、貴方が私の留守中に、何を話し、何をしていようとも、絶対に怒らないって約束するわ。だから、本当の事を話して。お願いね」「分った。話すわ」初美も応じる。

「まず、貴方が心配してる、彼たちとの深い関係・・それはあるわ。言い訳かもだけど、先に悪戯を仕掛けたのは彼たち。でも、それに乗じて、男女の深みに誘ったのはあたしだわ」「初ちゃん、有難う。本当の事を話してくれて。その勇気、称えるわ。あの行為を教えたって事、確かに、世の中の決め事には反していても、人としては、間違ってないかも知れないわね」こみ上げる激情をやっと押さえながら、香緒里が続ける。

彼女の留守中、初美が二少年と繰り広げた、本当はあるべからざる背徳の情交を想う時、思わず大声を上げたくなる、感情の昂りは無理もなかった。少年たちは、恐らくは「望まない行為」だったのではないか。「何と言う、無茶な事を・・!」泣き出したい、そして叫び出したい感情を、ギリギリ抑えていると言うのが本当の所だった。

「初ちゃん。それ以上詳しい事は訊かない。でも、小町さんからも言われてたでしょ。起きてしまった事は仕方ないけど、それをどうやって、ここ中山荘(ちゅうざんそう)の中だけの出来事にして行くか、もう一つは、どうやってこの林間学級の期間の中で、きちんと終わらせるって事を考えないといけないんじゃない?」

「図星だわね、香緒里。小町さんのお話そのものだわ。そうなの。貴方の話した、その二つの問題を真剣に考えないとって所よね。勿論、あたしにも『つもり』はあるわ。『ここだけの行為』にしなきゃならないのはよく自覚してるし、この学級の終わりまでに、関係をクリアにする事もね」「そうは言っても『言うは易し、行うは難し』なのも事実よ。もう今からでも、手を打つ位のつもりでないと」香緒里は言った。彼女たちの眼下の暗闇を、上りの JR中央西線貨物便が、鋭い警音一声、轟音を伴い通過して行く。時間的に、5878列車か。

「いけない・・」初美が呟き、その声が揺れる。「あの警音を聴くと、涙もろくなるのよ」鋭い高音域の、電機EF64(1000代)の警音は、彼女の、悲しみの感情に共鳴するらしい。「何かしらね、プロ歌手を目指していた頃の、あの事件のせいか、それともこの学級の、夜の出来事のせいか、それは分らないけど」「まあ、余り考えない事ね。ある音を聴いて、悲しくなる事って、それはあるみたい。私は分るよ」香緒里、こう返す。

15分位後だろうか。今度は、下り方向への轟音が通る。その時・・又も鋭い警音が上がった。これは多分、貨物 3081列車だろう。この二度目の吹鳴が、初美の涙を誘った。声を上げ、泣き出す。
「初ちゃん、泣いていいよ。私がいるから。今夜の続きは、又明日話そうよ」香緒里がフォロー。そして暫く後「ご免ね。一杯もらっていい?」それは、初美の寝酒 グラン・マルニエの事だ。「いいわ」泣き止んだ彼女と二人、オン・ザ・ロックのグラスを合せる。

初美「あの警音を聴いて、ふと思ったんだけど、ここの辺りも、念の為注意した方が良いかしら。ひょっとしたらって事もあるものね。セキュリティ・システムだって万能じゃないし」 香緒里「それは、そうするに越した事はないわ。特に、今夜みたいに多く鳴る時は、気をつけた方が良いかもね。まあ多分、鹿とかの動物のせいとは思うけどね」就寝前の一時、二人は甘い酔いを嗜んだ。

一方の少年たち、どうも寝つきが良くない様だ。健(たける)は徹に、「遅くなったけど、伯父さんに連絡しておくかな。もしかすると、お前に代われって言うかもだが」「ああ、いいよ。その時は教えてくれ」こう返す。

健、まずは以下の電文を、中条に宛てSMS送信。「基地外伯父さん、今晩は」「健か、元気そうだな。ただ『基地外』は事実じゃねえ。即撤回せよ!」打てば響く様に、中条から返信。嬉しくも、機嫌はやや斜めになってしまった様だ。健の余分な一言があった為に。
中条、続ける。「パンティ返せ!」健はすかさず「知らん!その事はもう終わったはずだ。大体、伯父さんが酔って置きっぱにしたのがいけない。間違って捨てたんじゃないの?『基地外』は冗談。撤回しますよ」傍で、徹も苦笑しながら読んでいる。

中条「仕様がねえなあ。まあ、そう言う事にしておくか。所で、今まで勉強してたのか?」これは勿論、健がパンティを持ち去った事を分っていての言動だ。健「いや、それはない。遅くても、明るい内に済むレベルかな。木曽川へ泳ぎに行ったり、虫を獲る自然観察や、夜の天体見物の時間も取れるしね」
中条「好いじゃねえか。普段できんだろう色んな事ができてさ。所で、この遅くに相談でもあるのか?どうせ眠れねえんだろ」
健「そうそう。遅くに悪いんだけど、これは、叔父さんにも知っておいてもらった方が良さそうだし、勿論、先生方のOKももらってるよ」

中条「当然の事だよな。んで、中身は何なの?」健「まあ、言い難い事なんだけど、初美先生と深い仲になったって事ですよ」
中条「ふふん」と鼻を鳴らしながら「なる程、まあ薄々予想はしてたが。徹君も、同じ様な感じなの?」 健「そうです。ただ、俺たちはまだ小6なんで、この後をどうしたら好いかが分らないって事ですね」
中条は、この電文を見て「これが大人なら『だったらやるな!』と怒鳴り飛ばす所だが」とも思ったものだった。だが健、徹の二少年は、まだそんな経験は皆無だろう。

そこで「あのな、良く聞け。お前たちのした事は、そりゃ起きちまったものだから仕方ねえ。ただだ、今以上にのめり込むのは拙い。その訳は、近く分る。それと、すぐ難しいのは分るが、林間学級の間に終わらさなきゃいけねえな。さもねえと、お前たちは相談所へ行かなきゃならん破目になるかもな。もっと悲惨なのが、初美先生よ。最悪、警察に捕まるかも知れんし。でも、そうならねえ為に、先生方は、ちゃんと考えられてるはずだ。俺も、それは考えとるよ」

健「そうらしいね。そうならん為にも、今は先生方のお話を良く理解して、気をつけて動かないとって訳ね。まあ、明日にでも聞く事になるかな」
中条「まあ、余りお前たちからしつこくは訊くな。必ずしなきゃいかん話だから、先生方から沙汰があるはずだ。まず第一に、お前たちは、そのサインを見落とさねえ様気をつけろって事だよ。今夜の話は、ここまでだ」
健「分った。伯父さん、有難う。徹に話はあるかな?」 中条「うん。今から彼にメッセージ送るから、宜しく伝えてくれよ」 健「了解。お疲れ様です」

健が徹に伝えた直後、徹のスマート・ホンにSMS着信。「箕輪 徹君。健の伯父の中条です。林間学級ご苦労様」
徹「伯父さん、有難うございます。お蔭で元気です。学級も順調ですし」と返信。中条「それは良かった。で、健にも話したんだが、君も大変な様だな。何かあれば、俺にも相談して好いからね。ただその時は、後でも良いから、先生にも一言伝える様に」続いて送る。
徹「はい、有難うございます。必ず、お言葉通りにします。学級の色んな事は、好い思い出になりそうです」「人生で、好い思い出は少ない。大事にする様に。じゃ、今夜はこれで。お休み」「有難うございます。お疲れ様でした」交信ここまで。勿論、平仮名打ちの所もある。

中条と、二少年のやり取りの間にも、前述の貨物列車の通過が複数回あり、彼たちも「今夜は、警音多いなあ」と言い合ったものだった。
それは多くは、線路際に現れる野生動物への警告だったが、不審者に向けたものである可能性も、ゼロではない。又、中山荘備え付けのセキュリティ装備も、万全と言う訳ではない。やはり、人レベルでも、それなりの警戒が賢明なのかも知れない。
(つづく 本稿はフィクションであります 2016=H28,7,24記) 

今回の人物壁紙 紺野ひかる
渡辺貞夫さんの今回楽曲「セイ・ホェン(Say When)」下記タイトルです。
Say When

JR電機 EF64(1000代)の警音が聴けるシュミレーション画像、下記タイトルです。
EF64 1003
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