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想いでの山峡(やまかい)~林間学級の秘密 第1話「出発」

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「白鳥(しらとり)君に箕輪君、ちょっと残ってくれる?」東海地方の大都会、N市中心部から遠くない、総合予備校 佐分利(さぶり)学院の、高層建物の一教室で、生徒の二少年は、担当講師に呼び止められた。女の名は、伊野初美(いの・はつみ)。

7月中旬、多くの学校にて第一学期の終わる日で、この予備校でも同じタイミングで学習スケジュールが一区切り。時期は前後するものの、多くの生徒が夏期講習や合宿の日程に入る中、この二少年、白鳥 健(しらとり・たける)と箕輪 徹(みのわ・とおる)は別指導メニューで夏休みを迎える事になったのだった。

彼たちは、事前にそのあらましは聞かされていた。夏休みの前半、他の小学6年生仲間と離されて、別メニューで学ばなければならないのは、寂しくないと言えば嘘だったが、もう一方で、各々のペースで勉強や身体のトレーニングができ、何よりも、静かな山間で、一時羽を伸ばせる可能性だってあるのだ。学習用のタブレットやスマート・ホンの携行も許されるし、初美に師事する国語は不安なし。来年からの中等科の為、先行となる英語だって、特別講師 山音香緒里(やまね・かおり)の指導が受けられる。他科目にしても、ネットで学院本部に問い合わせる事ができる。

公立小学校の夏休み宿題は、要領良くできる所を前もってこなし、二少年は、この特別林間学級を、むしろ楽しみにしている風情さえ見せた。

さて、教室から異なる階(フロア)の小会議室に通された二少年。これから、二日後に迫った特別林間学級の、簡単な打ち合わせに臨む。同席するのは、主任担当講師の初美と、英語などを受け持つ特別講師の香緒里、それに養護主任で女医でもある本荘小町(ほんじょう・こまち)計5名である。

「それじゃ、明後日(あさって)からの林間学級の話をして行くわね」と初美。「集合は朝9:30。もう分ると思うけど、香緒里先生のお家に直接来て頂戴。親御さんとかに送ってもらっても好いわ。勿論、着替えや身の回り品、学習用具とかはきちんと準備する事。いいわね」
「はい、かしこまりました」二少年、返す。健が「一つ訊いても良いですか?林間学級の場所『中山荘(ちゅうざんそう)』までは、香緒里先生のお車で行くんですか?」と一言。

「その通りよ。運転は主に香緒里先生。必要なら、あたしも交代するから」初美、返す。
「車だと心配かもだけど、私は、中山荘まで何度も走ってるから大丈夫。安心して。ただ、シート・ベルトはきちんと締めてね」香緒里もフォローする。
「それと、林間学級の間は、あたしもなるべく様子を見に行くから、何かあったら相談してね」養護主任の小町もフォロー。
「かしこまりました。では、宜しくお願いします!」得心した様子の二少年、元気に返事をした。

その帰途の、彼たちの会話を少し。健が「とに角、明日は学校の課題を少しでも片づけといた方が好いな。英語は、香緒里先生に絞られそうだし、自由研究の交通問題も進めんといかん。後、草サッカー・クラブのシュミレーション練習もせんと。結構忙しいぞ」と言えば、徹も「時間を上手く使わんといかんだろうなあ。それに加えて、身の回りで、自分でやる事も多いんだろ?」応じ。
「そう言う事だ。もしかすると、掃除だけじゃなくて、洗濯や風呂焚きも宜しく、なんて事になるかな」健、苦笑する。

徹「まあ、二人いれば何とかなるだろ。それより、どんな楽しみがあるかを考えた方が好いかもな。あ、所でお前、伯父さんの趣味の雑誌とかは持ち出せるんか?」
健「ああ、あっちの方ね。まあ少しは見せられるだろうから、楽しみにしておけよ。ただ、先生にばれない事が条件だけど。後さ、洗濯となると、上手く行けば、先生の下着を洗えるかもな」二人は、顔を見合わせて笑った。健は内心「徹の奴、話す時に人とを合わすのが苦手とか言ってるけど、こう言う時だけは例外なんだな。こう言う時だけは」と苦笑した。

一方の女講師たち。帰宅の二少年を見送って、教職員室に移動。少しおいて帰り支度に入る初美に、香緒里がこう切り出した。
「初ちゃん、ちょっとお願いがあるの」初美「何?」と応じ。
「あのね、今度の林間学級、私は毎晩は中山荘に泊まれない事になったの。理事長には了解を頂いてるから良いけど。小町先生にもフォローしてもらうから、何日かは夜、貴方と彼たちだけになる事がある。それを了承して欲しい訳よ」「あたしは好いわ」初美、こう返す。その時、彼女の脳裏にある想いが過ったのだが、その事は追って記す事とする。

「香緒里も知ってるでしょう。あたしは、この学級を最後に学院を離れるから、最後のご奉公って事で。それも理事長から聞いてるから、まあ大丈夫でしょう」そして続けた「で、中山荘からは遠くない所なの?」

香緒里「うん。中山荘は、有名な旧街道の宿場のすぐ川上なんだけど、そこから木曽川をちょっとだけ下った所、妻籠宿の入口辺りに、私の親類宅があるの。JRの特急が停まる駅も近くよ。私は、この学級の期間、なるべく病気がちな親類の人の応援をする事と、音楽の作詞や作曲とかを一気に進めたい訳。勿論、英語の授業は、通ってでもこなすつもり。夜の半分以上は泊まれる見込みだし、何かあれば、すぐ駆けつけるわ。そこの所を、宜しく分ってくれると嬉しいんだけどなあ」「好いでしょう。詳しい日程は、行く道中ででも調整しようよ」初美、こう返す。「有難う。とても救われるわ」香緒里が一礼。そして夕方前、三人の女講師たちも、ひとまず帰途についた。思わぬ出来事が待ち受ける事になる、特別林間学級の「前夜」である。
(つづく 本稿はフィクションであります。2016=H28,6,2付)

今回の人物壁紙 吉沢明歩
渡辺貞夫さんの今回楽曲「ランデヴー(Rendezvous)」下記タイトルです。
Rendezvous
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