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ちょっと入淫 第24話「見舞(みまい)」

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8/20の日曜。少し蒸し暑さを感じ始めた、曇りの朝。気象情報によれば、この所の中京圏は 二日連続で鬱陶しい熱帯夜を免れた様だ。高層住宅上階の居所にて、由香・由紀の木下姉妹を事実上預かる中条も、前夜の空調は 未明にタイマー・オフとなる様設定していた。朝方までその方は良かったのだが、目覚めの時は 少しばかり具合が悪かった。

その有様・・。爽やかなラジオ体操の様には行かない。そう、斜め向かい家に、そこで預かりの犬 3匹と共に巣食う パピヨンの雄犬「マル」が「手勢」の 3匹を引き連れて屋上に現れ、騒ぎ始めたのである。「この バカ犬愚連隊!」と、中条が罵(ののし)った通りの 芳しくない生態を曝(さら)け出した。その「バカ犬共の運動会」てな訳だ。「ワンワン、ワンワンワン!ウ~ッ、ワォォォ~ン!」と、いやもう小型犬といえど 4匹も揃えば その甲高い咆哮(ほうこう)の音量も相当なもの。いつも通り、商家「松乃家(まつのや)」の玄関前を通ろうとした 数人の犬連れ散歩人たちも、この朝は、屋上のうるさい犬共を敬遠し コースを変える事に・・

「ふふん!」出窓の際に立った男は鼻を鳴らし、その様を一瞥(いちべつ)する。「まあ、これも予定調和。相変わらずこの連中、吠えとるのか屁~こいとるのか 良う分からんわ・・」呟いた所を、後ろから忍び寄った由香に抱き着かれた。「伯・父・様・・お早うございます!」 中条「ああ、由香ちゃんお早う。よく眠れたかよ?」

 由香「ええ、まぁね。割と涼しくて、好い感じやったですね。空調(エアコン)もタイマーで良かったし・・」そう返す時には、妹・由紀も「お早うございます!」と、出窓際に現れた。「由紀ちゃんもお早う。まあ、見たってくれ。あのザマ・・」こう言わずとも、もう分かっていた事だろう。何せ、姉妹がわざわざ大坂から来た最たる目的が、この様(ザマ)を見る事だったのだから。

中条たちの視線の先 商家の建物屋上で甲高い大声を上げ続ける 4匹の犬共は、辺りを気にする事もなく 乱痴気騒ぎを繰り広げていた。彼が「気狂い踊り」と揶揄する、己の尻を追い回す「ぐるぐるパフォーマンス」も、「マル」と「一太」が実行。この朝は 2匹共時計回りだ。世に「ドッグ・ラン」と称する 飼い犬向けの運動場が幾つかあるらしいが、この商家の屋上は、正に期せずして その機能を立派に果たしていた。「今朝も マルちゃんたち、元気やね~!」姉妹は、素でも美しい顔を輝かせ、犬共の騒ぎに見入る。傍らで見守る男は、もう溜息レベルである。

「あのなぁ・・」彼は呟く。「二人は、バカ犬共の愛らしいとこばっかり目が行くから そう言えるのやて。連中が占拠しとる屋上だって、正確には『ドッグ・ラン』やなしに 『ドッグソ・ラン』なのだからな・・」 その呟きに、由紀が反応した。「伯父様・・」 「うん、何かいな?」 「伯父様の耳には、やっぱり彼たちの啼(な)く声って『オナラ』に聴こえるんでっか?」 「あのそれ・・まあ余り正面から真に受けるなよ。あくまで『例え』だからな。しかし俺的には、奴らが吠えるのは『屁がプゥ~!』の音と大して違わん訳よ。調子の悪い時のだけどさ。特に オマルのは・・!」

「あは、マルちゃんの声が ちょっと高めな訳でんな?」今度は、由香が反応した。答える中条「まあその辺の受け止めは 人にもよるかもやが、俺にはそう聴こえたな!」 見始めて小半時も経つと、屋上の状況は 更に悪化した。「マル」が、右隅に位置する物干し竿の根元で片足を上げ「ジョ~ッ!」と放水を見舞うと、傍らで ボンヤリと見ていた風のポメラニアン「一太」が、反対側の竿の根元に向かい 同じ事をした。雌のパピヨン「サンコ」は右奥で 中条たちの方に尻を向ける形で腰を落とし・・これも放水らしい。それに、ポメラニアンのもう 1匹「フゥ」が並んで同じ事を。「大きい」方でなさそうなのが、幸いかも知れない。

「こういう事は・・」男は、呆れた様に呟く。「オマルが仕切って、統率できるのやな。こういう事だけは!」 野太く透るその声は、傍らで犬共を見守る姉妹の耳にも届いた。姉の由香「そやけどマルちゃん、お友だちをリードできへんよりはマシと違いますか?」 中条「ああ、それもある。余り力関係が近過ぎると 喧嘩の原因になりかねんし、差があり過ぎれば露骨な主従の間柄になっちまう。どっちも具合が悪いのは事実だな」 「ふむ、その『力関係』が、微妙で難しいって事でんな・・」 「ああ、まあな・・」

起床して 例の「バカ騒ぎ」を見始めて小一時間の後、犬共は、屋上階段の所に集まり、階下へと向かい始めた。或いは遅めの朝飯だろう。これ以上見ていても 仕方がない。中条は姉妹を促し、昨日と同じく 馴染みの喫茶店へと朝食に向かう。2日連続の同行となると 流石(さすが)に店主も気が付いたらしく「何よ(中条) 新(しん)さん、姉妹さんたち、近所にお泊りなの?」 

訊かれた中条「ああ、まあそんなとこでさ。お堀端の『ホテル・Nキャッスル』にお泊りみてぇで。昨日、朝散歩に出たら、偶然出会ったって事。尤も今朝は、示し合わせたけどな」 「ああ、そうなの。・・すると、かなり良家のお嬢様ってとこかね?」 「ああ、ま・・そんなとこかな。俺も、小耳に挟んだだけだけど・・」男はさらりと言い、何とかその場を凌いだ。

姉妹の希望もあり、中条が LINEで触れ回った事もあって、途中からは彼の甥 健(たける)とその親友 徹(とおる)も加わって「初めまして!」 「伯父がお世話になってます!」 「こちらこそ!」一通りの挨拶を経て、更に一時間程談笑。帰路、道すがらの花屋にて、宮城へのお見舞い品、百合の紅白花束を入手。次いで中条の居所にて 宅配ピザとソフト・ドリンクで昼食の後、解散する事になった。再びその居所に戻った二少年も、斜め向かい家にいる 4匹の犬共の、屋上アホーマンスを目撃する事に。

「いやいや、確かに面白(おもろ)いわ~!」 健と徹も、概ね共感した様だ。そして「つまり・・」健が言った。「あの 4匹、結局は『マル』がリーダー格って事だよね」 訊かれた中条「まあ、そんなとこかな。同じ雄の『一太』もいるが、オマルの方が ちょっとだけ『力が上』ってのが、この群れの鍵みてぇなモンかなって思う訳よ」 「ああ、なる程。動物も『力関係』て微妙なんですね・・」と、徹も反応。「そうらしいんだよな。まあ難しくもあるどさ・・」中条は、そう答えておいた。

正午前、宅配ピザ複数が届き、5人で談笑を交え昼食。「ご馳走様でした!」小一時間の後、上級生の豊(ゆたか)とも会う予定との 健と徹が 中条の居所を後に。「おおきに。又ね!」 「又ゆっくり!気をつけてな。豊君に宜しく言ってくれ!」見送る男。少年たちは、会釈して EVに乗り込んだ。「さあ、我々も用意・・だな」 「・・ですね」 中条が、食堂となった居間、姉妹が厨房(キッチン)の後始末。そうこうする内に 1:30pmを過ぎた。

由香と由紀は、中条の居所に初めて来た時の様な、淡色の夏ブラウスと長めパンツ、同様のパンプスの出で立ち。中条も、夏の正装上下に黒の短靴で固めた。2pm少し前、階下玄関に降りると同時に、永野の駆る Sタクシーが滑り込んで来た。「有難うございます。今日も、宜しくお願いします!」 「永ちゃん、連日悪いな。こちらこそ、宜しくです!」と中条。車は、普段の営業で乗るトヨタ・カムリに戻ったが、乗り込む 3人には、何かホッとしたものが感じられた。例により、前席に中条、後席に姉妹が乗り込み、出発。

「今日は、自分も宮城社長をお見舞いしたいと思いまして・・」表通りに合流した所で、ステアリングを操る永野が言った。「そうだよなぁ。順調なら、明日は退院かもやから、今日辺りは顔を出した方が良いかもよ」中条も応じ。鵜方病院は、中条の居所から南西方向に数kmの所。車で約十数分の所にある。道中も順調で、2pm前には到着した。「見舞いです。お願いします!」 「はいどうぞ。ご苦労様です」日曜の見舞いにつき、運転の永野を先頭に、閉鎖中の玄関脇 通用門から、保安係に一言伝え、一部運転の EVで上階へ。

「失礼します。宮城社長、暫くでした!」 「宮城一路(みやぎ・いちろ)」の名が記された札を掲げた 特別個室 1202号室の前で、ドア・ノックの上、声を殺しての挨拶。少しおいて、人の気配。ドアが開き、部屋を使う 検査着のままの宮城が、顔を出した。「おー 皆、今日はご苦労だ。まぁ、入れや・・」 「はい、有難うございます・・」なるべく静かに、4人は招かれるままに入室。

応接席は三席。それに姉妹と宮城が座り、中条と永野は、ドア寄りの補助椅子に席を取る。まずは、姉妹の挨拶から。「宮城の伯父様、お久しぶりです。木下由香でございます」姉が切り出す。続いて「妹の由紀と申します」と続く。宮城は言った。「お~、由香ちゃんに由紀ちゃん、綺麗に大きぅなったなぁ。この前会うたの、確か 貴女たちが小4と小2の時だった様な。元気で何より。それに学業も順調だってなぁ・・」 由香「ええ、お蔭様で。由紀共々、まあ充実した大学生活でして・・」 「そりょ良いな。まあ暑いから身体気を付けて、頑張れや」 「おおきに。有難うございます!」姉妹は返し、持参した百合の花束を、彼に捧げた。

宮城「有難とよ。良いなこれ、紅白の百合やんか。これ、この花は、この街のシンボルなんや。明日退院してもイケそうや。自分ちでも、暫く飾ろうっと!」こう言い、少年の様な笑顔を現した。「いや、良かったなぁ。これで宮城さんの症状も、一挙回復やな」中条が言えば、永野も「・・ですね。こうなりゃもう、明日の退院は決まりでしょう。大丈夫!お帰りはお任せ下さい!」 「おー好いなぁ永ちゃん、そんな感じで、宮城さんをお帰ししてくれや!」 「頼むよ、永野君!」中条、そして宮城からも、永野への応援がかかる。傍らで、姉妹も笑顔で見守った。暫く、ザワザワとした談笑が続いた。

「さて、皆・・」会話が途切れた所で、宮城が言った。「はい、聞きましょう・・」 4人が返すと「実はな、今夜やと思うが、本荘先生の特別診察がもう一度あるんだと。詳しいとこは、この後夕方辺りに分かるらしい。その後、明日朝に簡単な検査やって、問題なければ退院らしいわ。ここまで、心配かけたな・・」 「いや、とんでもありませんよ。我々、当然の事してるだけです。とに角、良い結果をお祈りしますよ」 「ああ、有難と。さて、俺はちょいと、トイレ行って来よ・・」宮城は呟く様にそう言うと、出入り口脇をゆっくりと目指す。すると・・「由紀、ちょっとこっちへ・・」姉。由香に手招きされた妹、そっと寄り添うと、二人静かに、同じ方向へ。「一体、何が始まるんだ?」部屋に残った、中条と永野は顔を見合わせ 首を傾げ合った。
(つづく 本稿はフィクションであります)

今回の壁紙 近畿日本鉄道(物語中 近畿参宮電鉄のモデル)名古屋線・米野駅 近鉄名古屋駅へ向かう名古屋・大阪なんば間特急「アーバン・ライナー・ネクスト(Urban Liner Next)」 2018=H30,1 撮影 筆者
野呂一生さんの今回楽曲「サニー・クルーズ(Sunny Cruise)」下記タイトルです。
Sunny Cruise
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