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ちょっと入淫 第29話「夕悦」

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鵜方病院の 静かな日曜夕方。各階の病室は、一部を除いて入院患者で満室に近い状況のはずだが、この日午後の上階ロビーは、そんな事を感じさせぬ程、落ち着いた静けさを湛えていた。人の気配がない訳ではなく、平日には確かにある活気が 余り感じられなかったという事らしい。勿論それには 平日はひきも切らず頻繁に出入りする、通院の外来患者が訪れない事もあったが もう一つ・・長期の入院で、寝たまま起き出して来られない 認知症などの重症患者が少なくない事によるのかも知れなかった。

「まぁ、寝たきりになるよりは・・」この日午前、複数の新聞や雑誌をチェックした同じ上階ロビーに出た宮城は、こう呟いたものだった。「検査でも大した異常はなく、明日午前には帰れるのだからな。まあ、幸運(ラッキー)な方さね・・」 入院の間、身辺の雑事を担ってくれた研修看護師 瀬野美波も当直を終わって不在となった静かなロビーで、眼下の景色に目を遣ったりしながら、彼は小一時間を過ごした。

5pm過ぎから、早めの夕食。食堂の係員たちも、宮城が今朝から堅い食品を嗜(たしな)まない事を知っていて、粥(かゆ)を用意してくれていた。「ああ悪い、有難とよ・・」料理を受け取り、以前から知り合いの 数年程年上の男性入院患者と、適当に談笑しながら食事を進める。

「まあお蔭で、明日の午前で退院の見通しになりましたわ」宮城が言うと、聞いていた年長の男も「それは良かった。同じ肝臓でも 俺はちょいと厄介なんだが、今週一杯様子見で、上手くすりゃ帰れそうだよ」 「まあ、大事に行って下されよ。退院が近い事、私(あし)も祈ってますよ」 「有難とよ。まあ、お医者さんの忠告に逆らわず、もそっと我慢ってとこかな?」 「そうそう、それがいいですよ・・」作務衣(さむえ)の様な 淡色の入院着姿の 二人の男は静かに笑い合った。

6pm少し前、自室の TVで報道番組を見る為戻り、応接ソファに落ち着いた時、宮城の携帯(スマート・フォン)が反応した。美波を伴い、都心近くの総合予備校・佐分利学院養護課にいた女医・小町から LINEの受信。画面には「この後 6:30pm過ぎに、貴方を迎えに病院へ戻ります。外出許可は下りているので、気にしないで。服装は、入院着に上着でも OKです」 「了解、ご連絡感謝。お待ちします。後程・・」返信した宮城、やはり外出着に替える事にした。「やはり、院外で何かありそうだな。まあ、お任せでいいんだろが・・」まだ少し間がある。折角の TV番組。なるべく後まで見ながら、階下に降りる準備をする。

学院本校舎から程近い、女医・小町馴染みの和食処で夕食を済ませた三人は、予約した Sタクシーのワン・ボックス車、黒塗りのトヨタ・アルファードで一旦鵜方病院へ。待ち合わせた入院患者・宮城を乗せる為だ。初めは、この病院でも好印象の主任運転手・永野に頼みたかったのだが、生憎この日の同時刻、彼は非番の為、その後輩の運転手・水谷 卓(みずたに・すぐる)がこの任に当たる。永野より更に数cm上背があり、彼に似た印象の 体育会系的明るさを持つ男だ。

「本荘先生、今日は有難うございます!」 店外に出た小町たちを見つけるや、直ぐに運転席から飛び出し、丁重に挨拶。「水谷君、悪いわね。宜しくです・・」 「いえ、こちらこそ!」 案内を受け とりあえず、中列の右側上席に小町、その隣に美波、前列助手席に豊が着座。これを確かめて、水谷は静かに発進して行く。

彼は続けた。「今日の日中、小社(ウチ)の永野から お話は伺っております。まず、ご入院の宮城様をお迎えして、先生のお住まいでよろしかったですね?」 小町「ええ、その通りよ。宮城さんには 病院階下へ降りてもらう事になってるから、そんなに時間はかからない。後、帰りの事だけど・・」 「はい・・」 「今の感じだと、用件が終わるの 日付が変わる位になりそうね。時間が分ったら、又連絡するから宜しくね」 「かしこまりました。遅番ですし なるべく自分が参る様にしますが、大丈夫です。それができない時は、必ず代理が参りますので」 「悪いわね。お世話になるわ」 「有難うございます。間違いなく承ります!」

JR中央駅西の、新幹線発着プラット・フォーム側を発ってものの数分とちょっとで 車は鵜方病院へ。既に階下ロビーに降りていた宮城を拾う。「小町先生、お世話様です。これから暫く、病院外診察だって伺ったもんで、これでいいんですよね・・」些か訝(いぶか)る様に、宮城が訊く。これに対し、小町「ええ、確かに病院外診察でね。詳しくは、一緒に行けば分かるわよ」 「了解、まぁそれは、いいでしょう・・」

返事をしながら車内を見回すと、中央列に美波の微笑む姿も認められた。それから豊が、前席から一旦降り、宮城に挨拶。「初めまして、T高校、それに佐分利学院高等科に通う、豊野 豊(とよの・ゆたか)と言います。どうか宜しくお願いします!」 「おー、豊野君な。話は聞いとる。俺や中条の後輩だろ。宜しくな」 齢の差はあるも、同じ学校のよしみもあり、宮城と豊が打ち解けるのに、そう時間と手間は要さなかった様だ。

「良いですねぇ。美波ちゃんも一緒か。こりゃいいや・・」 簡単な挨拶を終え、宮城は二列目右側の上席へ。左隣が美波、直ぐ後ろに小町が座る。豊は引き続き、助手席だ。「そうか、永野君は今の時間、非番なんだ。けど Sタクは好感だな。彼の他にも、今 来てくれてる水谷君他、優秀な運転手(ドライヴァー)が揃ってるらしいから 安心してられる。そうだな、水谷君!」 「有難うございます。そうですね。いつも『その通りです』とお返しできる様、頑張って行きます!」まだ若い彼は、気負ってそう答えた。

盆明けの日曜夕方のせいか、交通量は少なめ。ものの 10分程で、車は N城址に近い、小町の居所の入る高層マンションの構内に入った。鵜方病院上部の医師たちも認めた、外出先治療の一環とて、タクシー運賃も 病院のチケット払い。小町がその処理を済ませ、謝意を述べて走り去る水谷運転手と挨拶を交わし 見送ると、4人はそのまま EVで上階へ。その南東角の、本来は家族向けの 3LDKはあろう広い一戸が、小町の居所である。

「豊野君は、寮みてぇなとこに入ってるんだよなあ?」宮城が訊くと、豊は「はい、まあそんなとこですね。一応は、両親の知人のとこですけど、賄い付きで住まわせてもらってる感じです。ただ、今日の夕食は 本荘先生にご馳走になりましたですが・・」 「ああ、そうか。するってぇと、今みてぇな夏休みとかの長休の折や 三連休とかに親御さんとこへ帰る訳だな?」 「はい、まあそんな感じですね。・・で、将来は家業の漁業を継ぐ事も 視野に入れてますんで、帰った折は よく親父の漁船に乗る事もありますね。自分ももう、小型船舶の免許を取りましたし・・」 

宮城「ああ、そりゃいいね。前向きなのは良い事だよ。M県の外海のあの辺は、ホント良い土地だよな。時間できたら その内訪ねてぇって想いもあってな」 豊「・・ですよね。ホント、中条の伯父さんとご一緒に覗いて頂きたいですよ。親たちもきっと歓迎だと思いますよ」 「有難とよ。まあ今は、それができる様、お互い頑張ろや!」 「はい、勿論です。自分もやりますよ!」 そんな会話の内に、小町から「宮城さん、先に美波とお風呂入って下さいな」との声が。「入浴ですね。はい、分かりました!」宮城は、美波と共に 素直に応じた。

「ねえ、宮城さん・・」共に 脱衣場所に来た美波が囁く。「はい、何ぞ?」彼が返すと 「やっぱりさ、ここでも見たい・・でしょ?」と、薄手ノー・スリーブのブラウスに両の手をかける。「よしっ、ちょっと待って・・」 宮城も、その裾に右手を添える。「見てるだけじゃ能がねぇ。応援したげるよ!」 「ふふ・・『エッチな応援』でしょ?」 「ハハ、まぁね・・」宮城はそう返し、美波のブラウスに続き、アンダーの デニム地の長めパンツ、ブラ、の順で脱ぎ取らせて行った。次第に現れる、程良い豊かさと まあ締まった括(くび)れによる、佳き体線。「ホント、プチ・ストリップそのものやな・・」

「あたしね・・」そしていよいよ、ショーツとサスペンダー型パンストを脱がせる折、美波は言った。「はい、いいよ。聞こう!」些か上気し始めた、宮城が返す。「お風呂の後は、下着を替えるつもりなの。それは、抜群に貴方好みのはずよ」 「おー、そうかそうか。そいつは楽しみ。ならば浴室じゃ、貴女を努めて丁寧に扱わんといけませんな」 「はぁい、お願いします。期待してるわ・・」そう美波の返事が聞こえると、二人は それが当然という風情で裸体を寄せ合い、唇を合わせる。「さあ、夢の夜の始まりよ・・」 「うんうん。好い時にしような・・」睦み合う様に、美波と宮城は 広い雅(みやび)な浴室へ。同じ頃、少し離れた中条の居所でも、由香と彼が、似た様な感じで入浴を始めたのだった。(こちらは「そう広く」とは行かなかったが・・)
(つづく 本稿はフィクションであります)

今回の壁紙 JR名古屋駅傍 ミッドランド・スクエア上階から臨んだ 名古屋城(物語中 N城址のモデル)夜景 名古屋市中村区(名古屋城の所在は中区) 2015=H27,12 撮影 筆者
野呂一生さんの今回楽曲「トレジュア(Treasure)」下記タイトルです。
Treasure
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