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情事の時刻表 第10話「共鳴」

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熱い夜の行為、そして後戯を経て 久しぶりで二人一緒にシャワーを使い、浴室でも互いの下方を洗い清め合った初美と中条は、就寝も寝室のダブル・ベッドにて。暫し雑談の後、心地よい睡眠を得たのだったが、その折の会話に少し触れておきたく思う。話材は勿論、中条学生時代の先輩・宮城の愛犬「サンコ」の慶事と、翌月に女医・本荘小町が 教え子でもある看護師・美波の勤務先病院へ出張するらしいという事共だった。

「そうか、宮城さんちの『サンコ』ちゃん、おめでたなのね」並んで臥す初美が言うと、中条「そうなんだよな~。宮城さん、この前獣医の方に診てもらいに行って、間違いねぇって事でさ」 「そうかぁ・・夏のお盆過ぎに、きっかけの出来事があったみたいね」 「そうそう。余り品の良い話じゃねぇが、たまたまそこのヴェランダから外を見てた由紀ちゃんが『サンコ』と『オマル』が事をやらかした現場を動画で押えたって事ですよ・・」 「ふふ、何となく面白いわ・・」

初美はそう応じ、含み笑いをした。その微笑も、薄暗い照明に美しく映える。「まあ、そうだろうよ。それより初ちゃん、そうした微笑(スマイル)も綺麗だな。素敵だよ・・」 「んふ、貴方にしてはお上手。有難うね・・」二人、顔を見合わせて笑顔を交わすと、又 唇を合わせた。

「ところで新(しん)さん・・」初美が訊いた。「はい、何だろ?」中条が返すと 「この前の日中 所要で佐分利学院へ行ったんだけど、その時に、同僚の香緒里から 本荘(小町)先生の最近の様子を聞けたのよ」 「ほう、そうか。・・で、何だって?」 「貴方やあたしの尽力もあって、最近はあちらの趣味が少し収まってるみたいだけど、来月初め辺りが怪しいらしいの」 「ああ、あちらの事な。まあ彼女、表向き大人しくしてるだけだろ?」 「ええ、多分ね。陰で何してるか分からない所はあるわね。で、その方なんだけど・・」 「うん、聞くぞ。続けてくれや・・」

初美は続けた。「その『聞いた話』なんだけど、彼女 南隣の M県にある、教え子の看護師の娘(コ)がいる病院に出張する計画があるらしいの。その彼女の名前は『瀬野美波(せの・みなみ)』ていうらしいわね」「瀬野美波ちゃん・・そうか!」会話の合間にも、中条は 宮城から聞いていた美波の魅力に想像を巡らせたものだった。勿論、初美に悟られるのも不味い所。現状 それは何とか免れている風だ。

初美、更に続けた。「日時は 11/3から 5の、金曜祝日から日曜までらしいわね。谷間の 11/4土曜一日が病院の用件で、前後の祝日と日曜は、移動に充てるつもりじゃないかしら。問題は、その折に 又何かあるかもって事ね」 「ああ、何となく分かる。地元患者の特別健診かいう名目で、実は『男漁り』ですってか?」中条はこう返すと、思わず「ふっふっ!」と笑った。

初美「まあ、貴方のお返事とそう遠くない感じだと思うわ。本人にそんな事を訊けば否定するだろうけど、どうもそんな感じが付き纏うわね。どうかしら?あたしたちも丁度三連休になる事だし、現地まで様子見に行く位の事 考えた方が良くなくって?」 聞いた中条は「初ちゃんの話 分かるよ」と返した。

彼は続けた。「実はよ、俺も同じ事を考えてたって事さ。確かに 11月のあの辺は、土曜谷間の三連休だな。多分 小町先生は 11/3の朝か午前に当地を発って、午後現地入りのつもりだろう。多分その日は、関係者の集まりがあって、少人数の講演位はするかもな。翌土曜が病院メインで特別健診とその関連用件の日だろうな、まあ『何かある』としたら、夜を含めたその日が濃厚だろうな」 

初美「分かった、有難う。そうしたら、先生が 11/3の何時頃こちらを発つかを把握しといた方が良い・・か」 「そういう事。確かな、JRの特急が、朝方と午前中に一便ずつあったはずだ。そのどっちかに乗るはずって事だろう。俺も調べ様はあるが、(佐分利)学院のルートでもし分かりゃ、それが一番確かだろうな・・」 「了解!それ、あたしが近く『学院』へ行った折に それとなく訊いておくわ。それによって、貴方が宿や列車の手配してくれないかしらね?」 「良いでしょう。そいじゃ、それで動くわ・・」

ひとまず会話が区切られたのは、日付が替わった前後だった。「お休み!」 「お疲れ様!」軽い挨拶と共に、熟睡・・が しかし、翌朝はそうも行かない風情だった。晴天に恵まれたのは良かったのだが、中条の目覚めは決して芳しいものではなかった。その原因は・・

「ま~た 始まった!」発信元は、斜め向かい家の屋上である・・と書けば、もうお分かりだろう。そう、飼い犬「マル」のけたたましい咆哮が、若干の朝寝を所望する初美と中条の想いを断ち切ったのである。日曜朝は多少ゆっくりとはいえ 7amを回ると、近隣の犬連れ散歩人も多くなる。「マル」は、近隣に現れたそれらに激しく反応しているのだ。

そればかりではない。斜め向かい「松乃家」屋上の他からも、中条が「屁の様な」と揶揄した「マル」の咆哮に似た鳴き声が漂う様に聴こえて来る。「マル」は階下を通る散歩人と、この「声はすれども 姿は見えず」の両方に 恰(あたかも共鳴するが如く 過敏に反応しているらしかった。

「今日も元気だ。アホ同士・・」眠れなくなり 仕方なく起き出した中条は、窓外に目を遣りつつ こう呟いた。「相変わらず、過剰反応してやがるな。人みてぇに『加減する』知性がねぇからって言っちまえば それまでなんだが・・」そして続けた。「それでまぁ、十年一日 同じ事を繰り返してるって事か。想えばだぞ。今朝の行状といい、『サンコ』を孕ませた件といい、皆 本能の赴くままにした結果だし・・」

「新さん、お早う!」既に起きていたのか、厨房から初美の声がかかった。どうやら、茹で卵など 朝食準備を途中までしていたらしい。「ああお早う。又 あのアホが向かいで騒ぎたてたせいで、早めに目が醒めちまったって事でさ。もしも貴女も同じ様なら悪かったな。「あ・・いえいえ、そんなの大した事ないから気にしないで。そう言えば『オマル君』も、今月末には父親になるんだよね・・」

聞いた中条「そうなんだよな。宮城さんの話じゃ、サンコの慶事(おめでた)は今月末位らしいわ。これが人なら、半端なく喜ぶとこだがどうだ?四足(よつあし)だもので 彼(やつ)自身は全く意にも介してねぇだろうな。まあ一方じゃそれで良いんだろうが」「何となく分かるわ。まぁワンコとかは、別にそれでも良いんじゃないかしら?」と 初美も応じた。

そうこうする内に、朝食の用意が整う。中条も 向かいの「マル」の動きを目で追いながら、コーヒーを入れて行く。階下の散歩人たちや見えぬ相手への咆哮を区切った「マル」は 勝ち誇った様に、己の尻を追い回す「ぐるぐる踊り」をひとしきり披露する。二人、食事を進めながらのチラ見。「いつも可愛いいわね!」ユーモラスな動きは 初美も好感する所だが、中条視点からは、ややバカっぽい印象がなくもなかった。為に彼は 犬のこの動きを「気狂い踊り」などと揶揄していた。

「さてと、初ちゃん・・」犬が一旦階下へと消え、朝食も終わりに近づくと 中条が言った。「暫く行けなんだが、栄町を覗きに行ってみるか?」初美「良いわね、それ。久しぶりで、秋冬物をゆっくり見に行きたいし。」と返し、一息おいて「貴方は?」と訊いた。中条は「俺はそうだな・・東急ハンズで雑物を色々と見に行きてぇとこさ」と応じた。

初美「じゃあ、どうしようね。もう少ししたら早目に出かけて、お昼も向こうになるかしらね。日曜だから、混雑も覚悟した方が良さそうだし・・」中条「まぁ、それもあるだろうな。早目に出るのは賛成だ。昼も 向こうで食うなら半時位は早目が良い。今日は そういう流れで動くとするか・・」彼の言葉に、傍らの初美も頷いた。食事を終え ソファで寛ぐ二人は TVの報道番組が区切られたら出かける事にしていた。その間際・・「あ~、ダメだダメだ!」中条が声を上げた。又も向かいの屋上に現れた「マル」が、片足を上げ 彼らからモロ見えの位置で「放水」を始めたのである。
(つづく 本稿はフィクションであります)

今回の人物壁紙 白咲ゆず
今回の「音」リンク 「ホワイト・ナイト(White Night)」 by久石 譲(下記タイトル)
White Night
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