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レディオ・アンカーの幻影 第11話「試行」

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「あの一事」を決めた夜、シャワーと軽い寝酒を経ての眠りは 二人共深かった。「お早う!」翌朝起きたのは 8am過ぎ。前嶋から投げかけた朝の挨拶を笑顔で返す理乃も、心地良さそうだ。続く 4/21の日曜も穏やかな晴天。前日より気温が上がりそうな気配だった。

多くの所がそうである様に、二人が投宿したビジホのチェック・アウトも 10am。宿泊サービスの朝食バイキングも、締め切りはそれに先立つ 9:30amだ。上階から下方のホールへ、一応は用心しながら降りて行く。幸い、知った顔いない様だ。思い思いに洋食の総菜やスクランブル・エッグ、トースト、フルーツ・ジュースにコーヒーなどを確保して席に着く。

「良かったよ・・」開口一番、理乃が言った。「のぞみさん、一見パッとしない感じだけど、指技は好い感じだったわね。もしもよ・・」 「はい、聞いてます」コックリとした感じで首を下げ、大きく頷いて反応する前嶋。それを見て、理乃は続けた。「又貴方に持ち掛けられたら、断れない様で 少し怖いわ」 「そうですか。同じ職場って事もあるし、俺はそう露骨には迫りませんよ。ただ・・」 「はい、何?」 「貴女がどうしてもって望むなら、又機会を作りますよ」 「ふふ、機会ねぇ・・」食事の合間のオレンジ・ジュースを嗜みながら、理乃はそう返した。

「少しだけ、期待しちゃおうかな。勿論 少し先でいいけどね」 その言葉を聞いた前嶋は「うんうん。少し間を置きましょうよ。その方が・・」 「はい・・」 「お互い 又疼くっていうのかな。程良く昂奮して、又求めたくなるってのがあるでしょう」 「のぞみさん、それってエッチな昂奮・・でしょ?」 「あぁ、まぁそんなとこですね」突っ込む様に訊いてくる理乃の言葉を、前嶋はそう返し かわした。余り余裕がなかったのが正直な所であった。

朝食を終え、一旦部屋へ戻ると もう 10amに近かった。前嶋は一計を案じ、理乃に「今回は、ここで解散にしましょ。その辺を顔見知りが歩いてる可能性もあるしね」と言うと、彼女も「あぁ分かる。余り外で親しそうにしない方が良いし。じゃあここのお会計は任せてよろしい?」と応じ。 「勿論!気をつけてお帰りを」 「有難う。じゃあ、又明日・・」会釈を交わした理乃は、先に階下へと降り、そのまま JRの O駅へと向かった。

「有難うございました!」係員の男女に見送られ、館外に出ると、丁度理乃が橋上式の O駅舎の改札へと向かう所だった。その入場を確かめた前嶋は、O駅から少し東寄りの 知っている列車撮影のポイントへ向かい、東海道線上下と、分岐する A県最古の鉄道・武豊線の各貨物便の画像を収めて、昼過ぎ 帰途に就いた。

その夜、翌日の仕事の段取りを少しと、溜まっていた雑事を片付けた前嶋は入浴と夕食を経て、自室で多少の酒気と TV番組をお伴に、邑井由香利から拝受した名刺を眺めていた。つい前日の「集い」の後の心地良い会話、そして名刺を賜る時の 手指の優れた温もりと感触は、勿論彼には忘れ難いものになって行く。

「あぁ、あの感触、ホント忘れられんなぁ・・」由香利の名刺を手に取り、捧げる様に眺めまわしながら 前嶋は呟いた。「こうして見てると、何か俺の運命まで狂わせそうな気がして来る様な・・」確かに彼の脳裏には、その時芳しからぬ想像が頭をもたげようとしていたのかも知れない。

「あぁ、由香利さん・・」 この夜の「ラジオ深夜館」は、勿論彼女の担当曜日ではない。たた、日付を跨いだ 1am代の 振り返り番組アーカイヴや芸能特集の進行を担うMCに彼女が当たる事があり、前嶋には聞き逃せない時があるのも事実だった。この夜も勿論、初めから番組を聴ける様、ラジオを ONにしていた。

果たして、彼の願望は叶った。この夜の担当は男性アンカー、徳倉章一(とくら・しょういち)だったが 1am代の芸能特集 MCは由香利だ。事前に録音してあるのだろうが、とに角前嶋は まず彼女の声が聴ければ良かったのだ。勿論下方は芳しからぬ想像で「礼儀を」正している。「一度で良いから・・」彼は思った。「この勃起を、直に彼女に見て欲しいものだ」などと不良な希望を抱いたりしていたのである。

日付が替わってからは、朝からの仕事もあって、寝床(ベッド)に臥して聴くのが常であった。1amからの 数分間の全国版ニュースを経て、芸能特集に入る。魅力ある由香利の司会と、ゲスト・コメンテーターの大物芸人との掛け合いが絶妙な進行を見せるこの時間帯は「ラジオ深夜館」リスナー人気コーナーの一つだった。大体の場合、前嶋は 下方を熱くして聴き入るのが常で、時には手淫を伴って粗相を招く事すらあった。

「好いぞ。この声・・」この夜も、左手で己の竿を摩って勃起させ、右手はフル・ネームが記された名刺を掲げ眺める有様。そして・・合間にその裏面に手書きされた URLの様な横文字を追ってみたりしたものだ。「これは・・」彼は思った。「もしかして、由香利さんのメール・アドレスじゃないかな。どうだ。試しに・・一度空メールでも良いから、送ってみる価値はあるな・・」

先程から、己の竿を摩り回す左手の動きを 前嶋は一旦止めた。そして、手書きの横文字の意味を 暫し考えた。一呼吸おいて「これはだぞ・・」と呟いた。「やはりメール・アドレスだろう。PCか携帯か、どっちだろうって疑問は残るが・・」 だがしかし、送れなかった場合はどちらかに不達メッセージが届くのも事実だ。「だから・・」彼は思った。「両方で送って、届いた方を覚えりゃ良いんだ。モノは試し、よしゃ、一度送ってみるか!」

一旦起き上がり、自室の事務机に向かった前嶋は 切っていたノートPCを再び立ち上げ、ネットに繋がるまでの間 先にスマート・フォンで携帯メールを送る。「邑井様 前嶋 望です。昨日の『集い』ではお世話になり、有難うございました」の意の電文(メール)を送る。少しおいて PCにても同じ内容で送付を試みた。

「まぁ、あくまで『試し』とか『試行』だ。どっちかが由香利さんに届けば儲けもの。とに角 ダメモトでやってみるだけでも価値があるってもんさ」と、前嶋は己に言い聞かせる様に呟きながら メール送付を試みた。傍らでは、先程からラジオが由香利の流麗な番組の進行を伝えている。二通のメールを送った前嶋は 再び PCの電源を落とすと消灯し、ベッドに戻る。又臥してラジオを聴き続ける為に。果たして・・
(つづく 本稿はフィクションであります)

今回の人物壁紙 笹原りむ
日野皓正さんの今回楽曲「イントゥ・ザ・ヘヴン(Into The Heaven)」下記タイトルです。
Into The Heaven
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