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この雨は こんな風に聴こえる 第3話「経路」


民放 TV局「N.G.T.V」の本局社屋は、黒木の居所から徒歩 10分程の北方にある 18F建ての高層建物だ。N市屈指の名刹「真宗東別院」の至近で、平成期の初め 以前からの社屋更新の折、都市ホテルなどを呼び込んで更なる超高層ビルにしたかったのだが、この寺院との環境面の関係で 現行の 18Fに落ち着いた経緯がある。都市ホテル誘致は断念され、企業向けオフィス階と飲食街でのビル構成となった。

民放局「N.G.T.V」は、関連企業を含めこの建物の過半を占める。階下のロビーは、深夜番組もある事を顧慮して 24H出入りできるが、深夜帯のみは衛視のいる通用門からのそれとなる。黒木が局に赴いたのは、正面玄関が閉ざされる寸前であった。「余り、ロビーをうろついたりせぬ方が良いな・・」玄関直ぐ外側、ロビーの中が見渡せる位置で 余り目立たぬ様にして 宥海の現われるのを待った。

「黒木さん、お待たせ・・」着いて十数分、予想はしていたが 宥海は通用門の方から現れた。「おー、ご苦労様。今まででしたか。番組は見させてもらったよ。分かり易くて、好い感じ・・」 「有難う。あたし ラジオの番組もあるから、割と不規則なんですよ」 「ラジオか、そうか・・深夜帯とかも受け持つ事あるの?」 「うん。日付を跨ぐ事はないけど、朝早めや夜遅めはありますよ」暫し、当たり障りのない会話が続く。

「それはそうと・・」黒木が話題を変えにかかった。宥海「はい、何?」 「貴女の泊まるとこ探さんといけませんな。ほら、近所のお寺さんとの関係で、N.G.T.Vの本局ビルにホテルが入る計画が流れたでしょ。あれが実現してりゃ、こういう心配なかったんだけどね」 「そうそう、父から聞いたけど あれホント残念だったわ。こんな天気の時は、特にね・・」 「全くね。今、ちょっと当たってみますから・・」

当夜の泊まりなので、電話照会しかない。黒木は近隣のビジホ数軒を全て当たるも、生憎この夜は悉(ことごと)く満室だった。JR金盛駅近くのサウナ併設の宿が、カプセル室なら若干空き有りの状況だ。「平(たいら)さん・・」黒木は、なるべく失望感を前に出さぬ様 宥海に声をかけた。「カプセルならちょっと空いてるらしいけど、廊下から見えるんじゃ落ち着かないよね」 これに「そうねぇ、よく眠れないと嫌だし、それに宿によっては設備の一部が男性と共用のとこがあるの。そういうのに当たるのも嫌だし・・」

「そうですか。それじゃ・・」宥海の言葉を引き取った黒木は、内心「ニヤリ!」としていた。上手くすると、居所の自室に連れ込めるかも知れない。ただまだ初対面の段階(フェーズ)だ。露骨な無理はしない方が良い。少しの間、二人の間に沈黙が流れた。但し、気まずいそれではない。

「どうですか、平さん・・」宥海の顔色を伺いながら、黒木は続けた。「無理すればまだ地下鉄も動いてるけど、その先が分らないからねぇ。自分ちで良ければ、来られますか?」 「ふぅ~ん、そうかぁ・・」聞いた彼女は、一度深呼吸をした。そして「初対面の男性の部屋ってちょっと緊張するけど、まぁ良いか・・」→「分かった。それじゃ一緒に行くから案内して」 「かしこまりましてござる!」

「ダメモト」で声をかけたが、意外に希望が持てそうな展開になった。「意外に用意が悪いな・・」 まさかとは思ったが、宥海は傘を持っていなかった。黒木の二本傘持参は正解だった訳だ。「これはもう、返さなくて良いから・・」柄のある一本を宥海に渡し、横並びで TV局から南方、黒木の居所を目指す。雨の夜だが歩道は適度に明るく、男女二人組をメインに、人通りもまだある時間だ。

「悪かったね、雨の中 歩かせちゃって・・」 「いえいえ、ぜ~んぜん気になんかならないわ。お天気の取材なんて、雨ン中へ飛び出してくのって しょっちゅうだし。それより傘を忘れるとは、あたしとした事が・・」 「まぁそれも気にしない!ここからは『俺』って言わせてね。俺なんざ、傘の忘れなんてほぼ毎月ですよ。特に地下鉄!」 「あはっ、じゃあ何十本もって事ね!」 「仰る通り!」黒木の居所に着くと、階下のセキュリティ解除から EVで上階へ。そして玄関のドアをくぐるまでこんな会話が続いた。

「さてと、平さん・・」 外着からトレーナー上下に戻ると、黒木は宥海にソファを勧めながら声をかけた。「はい・・」の返事で「とりあえずバス・ローブ出しときます。良ければシャワーなら直ぐ使えるから、先どうぞ。どうしても熱いのがお好みなら 30分位待ってくれると有難いけど・・」 「ああ、いや・・お気遣いなく。あたしはシャワーだけで良いわ。ホントに、先で良いの?」 この反応に黒木は笑って「OKですよ」と応じた。

「そういう事なら・・」と宥海は彼からバス・ローブを受け取り「じゃあお先に。ついでに、あたしの事 下の名前で呼んでいいからね」と返し、美しく笑った。「有難う。済みません!」入浴後の飲み物を用意しながら、黒木も一礼して返した。彼には宥海の入浴中、少しの企みがあった。「ひょっとしたら、効く・・かな」傍らにある小箪笥の引き出しから現れたのは、所謂媚薬であった。ついでに「もしも」の場合に備えて持っていた「ゴム」も取り出した。

「初めてだから・・」彼は想った。「余りのっけから効かない方が良いかもな。でも・・」 「でもやっぱり、少しは欲情してもらわん事には意味がない。俺は口だけで口説く自信がない。卑劣かもだが、今回はこれに頼らせてもらうって事で・・」 という訳で、所要の半分位 媚薬を彼女の飲み物に仕込む事にした。疲れた時などに嗜む よく知られる「カンパリソーダ」だ。尤もソーダ水は、宥海が戻ってから合わせるのだが。彼自身は、スコッチ・ウィスキー「カティ・サーク」を水割りで行くつもりだ。

「よし、そいじゃ・・」宥海が浴室に入ってからまだ 10分弱。黒木はこっそりと、浴室手前の脱衣スペースを覗いてみる。狙い通り、宥海の着ていた下着の類が整然と籠に収まっていた。パンストを含め、上下共ベージュ系の大人しいインナーだ。「昼間 相当に動き回ってたはずだから、きっと匂いも期待が持てるだろう・・」 破損のリスク高いパンストは、初めから標的にしなかった。残るブラ、キャミソールにショーツが目当てとなった。まずはブラを手に取り、そっと匂いをチェックする。「うんうん、微かに汗と乳っぽい色香がするわ。まずは好い感じ・・」次いで、キャミソールからショーツへと移る。特に後者は、やはり男にとって大いなる関心事だ。

「さぁ、最初の本丸・・だ」 勿論、悟られては拙い。ほぼ気づかれぬ様 ブラとキャミを戻した黒木は、頭から冠る様にショーツの色香を確かめにかかる。普段着だから、露出の少ないガード堅めのノーマル・タイプだ。「休日じゃないんだから、それは仕方ないよな・・」そう思う一方で、やはり終日動いていた事への期待も募る。「きっと、良い香りだぜい!」 期待に違わず、脱ぎ去られたショーツは、ブラに勝るとも劣らぬ芳香を放っていた。特に底部のクロッチ部のそれは秀逸だ。「おお、聖水の香りではないか・・!」

「ホント、良くぞ言ったものだな・・」などと黒木は 変な感心をしていた。小水という事では、年齢性別に関わらず同じ排泄物なのだが、男から見た若い女のそれは「聖水」なる称号を 思わず与えたくなるものらしかった。汗臭さ、そして膣から発せられたらしい独特の甘酸っぱい匂いと入り混じって、宥海の聖水の香りは強く黒木の脳裏に刻み込まれた。そして「いつかで良い。一度で良い。この聖水を味わってみたい・・」との突飛な想いを、彼の脳裏に焼き付けたのであった。しかし一方で、冷静さも失わない彼であった。「いかんな。彼女、そろそろ出る頃だろう・・」これも悟られぬ様、丁寧に籠に返すと 平然と居間に戻る。浴室のドア・ロックが解かれたのは、飲み物の準備が整ったのとほぼ同時だった。
(つづく 本稿はフィクションであります)

今回の人物壁紙 波多野結衣
今回の音リンク「濡れない雨」 by中納良惠(下記タイトルです)
Nurenai Ame
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