FC2ブログ

記事一覧

轍(わだち)~それから 第11話「模様」

f25a8035.jpg
佐分利学院の養護室にて、秘密教科の二限目があった同じ7月16日土曜、中等科生 健(たける)の伯父 中条は、甥の元恩師 初美と二度目の逢瀬を果たす事に。

それに先立つ10日の日曜午後、彼は、親許の分をも含め、買い物に出た。円頓寺の食品スーパー店「丸万ストア」に赴いた所で、同じく来店の初美と、偶然に出くわしたのである。

とりあえずその日は、互いに用件があったので、最寄の喫茶店で短時間の会話に留めたが、そこで16日土曜に会う約束を交わす。

その土曜、曇りの朝。中条は、例の「あいつ」によって起こされる。そう、向かい家の屋上に現れる「Kuso犬」である。
この朝、こいつは通行人に一通り吠えついた後、己の尻を追いかけて、グルグルと時計方向に回り出した。
「愉快な仔犬」とか言う童謡の歌詞通りになった訳だが、中条は「違うだろ!」と、ふと思ったものだ。

「あのアホが、仔犬の訳がねえ。どうショボくても、一応成犬だろうが・・」以前一度、この商家の玄関前を通ったのだが、「犬に注意」の看板に描かれていたのは、随分立派な大型犬だった。「看板に偽りあり」とはこの事だ。
「何だよ。全然事実と違うやんか」男は、これを見て内心失笑したものだ。「住んでるのは、こんなのと違う。もっとショボくて、貧相で、低レベルなKuso犬だわ!」
そのショボい、貧相で低級な輩は、それを証明するかの様に、ひたすら己の尻を追って、グルグルと回っている。「本当になあ、汚い面が、汚い尻を追い廻してりゃ世話ねえ・・」半ば呆れ顔で眺める中条であった。

男は途中で愛想が尽き、ヴェランダを離れてコーヒーを入れに向かう。だからこの朝、こいつが粗相をしたかどうかは知らない。
朝食とTV報道チェックの後、8時前出社も普段通り。物流倉庫にも出入りしての、週明けの段取りと昼食の後、帰宅。
掃除など雑用を経て、夕方前、市営地下鉄でN市中央駅へ。この日は、前回より早い午後5時に、中央駅に近い、名電バス・ターミナル前の巨大人形オブジェ足元で、女と待ち合わせる事に。

今度は、中条が先着。直後に姿を現した初美は、薄黄色のワンピースにサンダル履きと言う、夏らしい装い。肩バッグは、やはり少し大きめだ。
「今夜は、ウチ飲みがしたいわ」と言う彼女の希望で、バス・ターミナル真下辺りの「デパ地下」で、暫し買い物に勤しむ。
「あ、これ、買おう!」初美、セロリを一株手に。「ああ、健康志向でしょ」中条が言うと、ニヤリとして「それもあるけど、夜の事にも好いのよ」 「はいはい。つまり、性愛(セックス)の事ですね」 「そうそう」初美、こう言って笑う。セロリに含まれる、ステロイド系の養分が、夜の行為にとり、有益らしい。

「まあ、好いでしょう。後、胡瓜(きゅうり)とか人参も要るよな」中条は、後、赤ピーマンと、チーズが少しあると好い事も知っていた。大事なのがブルー・チーズ。匂いが強い、わざと青黴(あおかび)を生じた、この癖のあるチーズが初美の大好物なのだ。「いや~、ついて行けんわ」中条は、自身には、表面が胡椒(こしょう)で真っ黒けのブラック・ペッパー・チーズを選んだ。それと、二人の好みの生チーズ「カマンベール」と、かいわれ大根を入れて、買い物は終了。この日の酒気は、彼の所に国産ワイン「十勝トカップ」の赤が、食後の果物と共に入手済だ。

買い物を終えると、二人はタクシーに乗り、中条の居所へ。彼が大学生の頃、北海道・小樽の硝子ショップで入手した、ワイン・グラスを使う事にする。このグラスは「ファクトリー・アウトレット」と言って、高温成形の時、僅かに気泡が入るなどの難がある他は、正規の製品と同様に使える、云わばお買い得品と言って良いものだ。「反って、手作り感があったりして、好いかもね」初美の感想。

買い物の野菜は、主にスティックにして、チーズの添え物にする。セロリの葉と胡瓜の端寄り、それに赤ピーマンとかいわれ大根は、中条が持っていた赤オニオン、シーチキン缶と共に、サラダに仕上げ。メインは、宅配シーフード・ピザのLサイズだ。
前回と同じく、初美を先に入浴させ、その間に中条が野菜洗いとスティック、サラダへの仕上げを行い。暫くして戻ると、入れ替わりに中条が入浴。その間に、初美が配膳を済ませる手筈だ。二人共風呂を終える頃、ピザが届けられる。

中条が赤ワインを開け、乾杯。暫くは、世間一般や経済、音楽の話材で、飲みながら雑談。それから・・
初美「彼たち二人は、元気にしてるの?」 中条「はいはい。お蔭で、元気にやってますですよ」 初美「それは良かった。去年のお盆明けから会ってないから、さすがに気になったのよ」 「ああ、もうそんなになるかな。一年は、早いね」中条、そう言いながら、振動した自身のスマホを改めると、甥の健からSMSが入っていた。

「夜遊び伯父さん、今晩は」 「こらこら、毎晩遊んどらんぞ。今、食事中やろ?」
中条、返す。健「いやいや、今なら送受信大丈夫」 「冗談はさておき、何なんだ?」 「実はね、ちょっと徹の事で、近い内に話がしたいんですよ」 「ああ、それはいいよ。都合の好い時、聞かしてもらおう。所でお前たち、そろそろ夏の強化学級だろ」 「そうなんですよね。24日の日曜から、8月10日の水曜までで、月末は一度帰れるけどね」 「じゃあ、こうするか。強化学級前の、22日の金曜に、会う席を作るって事で、それなら俺は、次の23日の土曜を休みにするからさ」 「ああ、それでも好いね。じゃ、徹に伝えて、その段取りで話をしますよ」 「了解。宜しくな」SMS通信ここまで。

中条「初ちゃん、ご免。今ちょっと、健からメールが来てたんで、話をしたって事で」 「ううん、好いわ。健君も、元気そうで何よりよ」初美、ブルー・チーズの一片をセロリ・スティックに載せながら、こう返す。
「まさか彼たち、貴方とあたしが会ってるって事、知らないわよね」 「勿論。連中には、まだ一切知らせておらんよ」中条、こう返しながら「ただなあ、今の話っぷりからすると、俺に会いてぇのは、むしろ徹君の方の様な感じがせんでもねえなあ」

それを聞いた初美、少し覚えがあった。健、徹の二少年は、前年夏の特別林間学級の折、養護主任 小町と、それぞれ一度だけ「関係」を持った。先に交わった徹は、ゴム(コンドーム)着用だったのに対し、後の健は、ゴムを着けない直接の交わりだったのだ。或いは意外と、小町はその事に執着しているのかも知れない。

「新さん、この事は余り大声じゃ言えないけど・・」前置きの上で、初美は、以上の事を、中条に語った。「いや、よく言ってくれた。でも、それが事実なら、俺たちも必要に応じて動かないかんな」 「そうなるかもね。まずは、小町さんがどう言う考えか、様子を見る必要があるけど」 「勿論それ大事。その上で、彼女がその気なら、何とかして、徹君を守らないかん状況も出て来そうだな」

初美、続ける「実は、あたしも、まだ徹への想いを消しきれない所があってね。彼は、本当に良くしてくれたし、夜の方も、それは思いやりのある、素敵な出方だったのよ」初めて、中条に対し、封印しかけていた「あの夏の夜」の事を、吐露し披瀝したのであった。

「それは分る。だけどよ、余り詳しく言うと、反って貴女の為にならんのと違うかな。俺は好いけど」中条が言うと「まあ、貴方は健君の伯父さんだし、徹の保護者みたいな所もあるから、明かしてもいいと思ったのよ」初美、こう返す。男は、例え間違いだったとしても、女のこの気持ちを受け止めるべきと心得た。「分った。その想いは、俺もしかと覚えとく。ただ、徹君も健も、もう去年の夏みたいな間柄は望んでおらん、と俺は見てるよ」

「あたしもそう思うわ。何しろ、まだ幼いんだし、あたしがこだわり続ける事で、彼たちの心を歪めてもいけないしね」
「初ちゃん、よく言った!俺も、そこん所は大事にせんと、て思う訳よ」 「そうよね。又、話したくなったら、聞いてくれるかしら?」「俺は好い。いつでもどうぞ!」 「有難う!今夜のワイン、とても美味しかったわ」 「良かったなあ。食事も全部好い感じやったし」
午後9時を過ぎ、赤ワインがほぼ空き、料理もあらかたなくなった所で「じゃ、少ししたら、次の事を・・」 「そうやね」

速やかな片付けと、歯磨きなどの後、二人は、ソファに戻って睦みだした。
「初ちゃん」中条が言う。「はい」 「この間忘れてたけど、キスの前にさ、こうやって、手指を絡めると、中々好い気持ちになれるんだ」男は、女の左手指に、右手指を合せる様な感じで絡めて行く。「ああ、中々好い感じね」 「そうそう。これ、ベッドの時にも、すると好いね」 「お願いするわ」 「了解。今度は、覚えとかんとね」手指を絡ませながら、二人はゆっくりと唇を合せて行った。
(つづく 本稿はフィクションであります)。

今回の人物壁紙 美咲 唯
松岡直也さんの今回楽曲「ザ・マジシャン(The Magician)」下記タイトルです。
The Magician
スポンサーサイト
[PR]

コメント

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

hakase32

Author:hakase32
愛知県在住の後半生男です。恐れながら、主に18歳以上限定内容を記して参ります。

お手数ですが、拙各稿を初めからお読み下さる場合は、下方にあります月間アーカイブ他のご利用をお願い致します。
他ブログを含め、拙記事の無断転用及び引用は ご遠慮下さい。

下記ランキングに参加しております。
クリックをお願いできれば幸いです。

官能小説ランキング

アクセスカウンター

愛と官能の美学

Shyrockさんの R18読み物集。他の作者各位も多数リンクされています。入口は、下記タイトルです。

赤星直也のエロ小説

赤星直也さんの R18読み物集。入口は、下記タイトルです。

未知の星

赤星直也さんの R18読み物集もう一つ。他の各位の作品も収録されます。

Mikiko's Room

Mikikoさんの、カテゴリー豊富な R18読み物集。独自視点の旅日記も好感です。

Adult Novels Search

R18 読み物の検索サイトです。

ブロとも一覧

拙バナーです

知人様より、優れたバナーを賜りました。必要時はご利用を Produced by Shyrock

もう一つの 拙バナーです

知人様ご厚意により、拙バナー追加編も賜りました。必要時はご利用を。 Produced by Shyrock

清き一票を(笑)

下記ランキングに参加しております。

日本ブログ村バナー


にほんブログ村 →できますれば、こちらも応援を・・

天気予報


-天気予報コム- -FC2-

月別アーカイブ

これまでの拙連載「想いでの山峡(やまかい)~林間学級の秘密(2016=H28,9~10)」と「轍(わだち)~それから(2016=H28,11~2017=H29,2)」  「母娘(ははこ)御膳(2017=H29,3~6)」  「南へ・・(2017=H29,6~8)」 「交感旅情(2017=H29,9~12)」 「パノラマカーと変な犬(2018=H30,1~5)」  「ちょっと入淫(2018=H30,6~10)」 「情事の時刻表(2018=H30,11~2019=R1,6)」 「レディオ・アンカーの幻影(2019=R1,11~2020=R2,5)」も お読み頂けます。