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母娘(ははこ)御膳 第1話「衝動」

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「何なんだ?・・一体、何考えてたんだよ?」本当に、魔が差したとしか思えなかった。時季は11月初めのある平日、場所は、N市営地下鉄・栄町駅の駅長室。若い男が、駅長立会の下、私服警官から取り調べを受けている最中であった。

若者の名は、阿久比 周(あぐい・あまね)。年齢は19歳、大学受験浪人中の、所謂「一浪」である。N城址の北方、黒川と言う街から地下鉄に乗り、一度の乗換後、JRのN市中央駅近くの総合予備校 佐分利学院の受験コースに出席すべく、朝方向かっている途上で、問題を起こしたのである。

時は7am代後半。早めに出かけて、早い時間に自習を図った周は、大いに混雑する地下鉄・城下線の車内で、被害者となる女子高生と遭遇する。普段、ミニ・スカートにハイ・ソックス姿の女子高生を見かける事は間々あったが、この日はどう言う事か、邪心の様なものが、彼の脳裏に入り込んだらしい。

件の女子高生は、周のすぐ前、乗降扉の傍にいた。芳しからぬ心理の周、意識してかせずでか、少女の背後に手を伸ばし、ウェストのくびれの辺りを一撫でし。この時は、まだ気づかれていない。地下の列車が城址のほぼ真下に達した頃、彼は少女のスカート内を狙った。周囲に悟られぬ様、下からゆっくりと手を入れ、太腿を窺う。

城址のほぼ真下、市役所駅に入った時、周の所業は、少女の知る所となる。減速の負荷を利用し、太腿を僅かに撫でたその時、少女が声を上げた。「ちょっと!Chikanです!」周は、急いで手を引いたが、その時右手指の二本が、ミニ・スカートの裏地に引っかかる形となり、後に物証とされる事に。

「おい、動くな!」40代位と、20代位の男二人が、周を囲んで抑えにかかる。「お姉さん、栄町で駅長室行くからね」若い方の男が、少女に告げる。「はい、お願いします」彼女は、こう返し。数分後、列車が栄町に着くと、男女四人は駅長室へ。実は、年上の男は刑事課の警官。丁度、駅近くの署へ、私服で出勤途上であった。携行の警察手帳から、身分が分る。

少女は、駅長室に着くとすぐ、母親と学校に携帯連絡。事件に遭い、遅刻見込みを告げる。同行の私服警官から事情聴取を受け、約20分後、母親が駅長室に着くのと入れ違いに学校へ。同時に、周を取り押さえた背広の若者も、同様の対応の後、駅長室を後に。
「どうも、申し訳ありません!大変な間違いをしました!」母親と言う女性が現れると、周は直ちに、最敬礼で謝罪を表す。「本当にねぇ。ただの迷惑じゃ済まないかもよ」彼女はこう応じ。そして「こう言う間違いは、初めてなの?」
「はい。これまでは一度もなかったんですが、今朝はどうかしてまして」周は、こう返した。それから若干の会話の後、私服警官が「では、続きは署で伺いましょう」と、女性と周を促し、駅近所の警察署へ。

写真撮影、DNA鑑定、繊維鑑定が次々に行われ、爪にあったスカートの繊維反応から、Chikan容疑が裏付けられた。「物証は揃った。阿久比さん、容疑事実を認めますね」私服で出勤した、40代の警官の男が言った。「はい、認めます。間違いありませんので」周は、こう返した。

警官は続ける。「本当なら、ここで逮捕も有り得るんですが、阿久比さんは初犯の上に、親御さんの身元も間違いなく、逃亡の可能性もありません。お母さんは、花井さんと仰いましたね。どうします?立件まで進まれますか?」
聞いていた少女の母、花井 妙(はない・たえ)は、すかさずこう返した。「お巡りさん、立件は見送って頂けないかしら。彼は十分反省してる様だし、示談が必要なら、あたしの方で進めます。ですから、叶えば逮捕は回避して欲しいですわ」

警官「分りました。それでは、この件は在宅事件と言う対応をします。阿久比さんは、勾留されず、お家に帰って頂いてよろしい。ただ、検察による処分はあり得ますから、お相手のお母さんとの示談は、早めに進めて下さい。書類送検と言う事になりましょう」と見通しを語る。妙は「承知しました。そちらは早急に進めます」こう返し、周がそれを受けて「お母さん、改めて申し訳ありませんでした。お巡りさんも、ご面倒をかけました」改めて、謝罪。

「では、検察の処分については後日お知らせしますから、示談はしっかり進めて下さい。その具合では、不起訴にできる可能性もありますから」警官の言葉を受けながら、妙と周は、一礼して警察署を後にした。

「今日は、大変ご迷惑をかけました。同行頂き、有難うございました!」周、もう一度妙に頭を下げ。妙「もう良い・・とは言えないけど、若い内は、間違いもあるものよ。ねえ阿久比君、示談は一つ、あたしに任せてくれないかしらね。実はあたし、情報関連の会社やってんだけど、そこの法律顧問に動いてもらおうかしら。勿論、君の側にも、知り合いの弁護士がつくからね。もう二度とあんな事はしないってのが条件だけど、それさえ呑んでくれるなら、娘の宙(そら)との件、大事にはしないわよ」 聞いた周「分りました。有難うございます!ついては、連絡とか密にしないといけませんね」 妙「そうそう。君の携帯番号とメルアド教えてね」 「はいっ、只今」二人は、会社と予備校に向かう途上、連絡先を交換、再び地下鉄に乗り込む。

「お母さんは、いつもこの時間にお越しなんですか?」周が訊くと、妙は「うん。まあ一応社長だから、いつも朝早くから行ってなくても良い訳。ただ、今朝は早くからやりたい事があったから、朝一で出たんだけど、そこへ、娘からあの問題の連絡があったって訳で」 
周「そうですか。お仕事の支障にもなっちゃった様で、そちらも済みませんでした」 妙「いや、大した事ないわ。起きちゃった事は仕様がない。でも、要は二度と同じ間違いをしない事ね」 周「はい、そうですね。それは肝に銘じておきましょう」 
妙「阿久比君は、来年大学受験なんでしょ?」 周「そうなんですよ。自分なりに追い込んでるつもりですが、やはり不安はありますね」
妙「まあ、人生の腕試しみたいな感じで臨むと良いわ。失敗しても諦めないって感じでね」聞いた周、一度は失敗しているので、ほろ苦い話ではあるが「分りました。お言葉を胸に、頑張ります!」こう返す。
妙「又、会ってくれるかしら?今朝の示談以外でね」問われると、周「有難うございます!喜んで」と応じ。
小半時後、N市中央駅着。妙は自身の会社へ、周は遅刻しながらも、学院の教科に臨む。

地方検察庁から双方に、この朝の件が不起訴となった旨、通知があったのは、それから十日程後だった。勿論、物語はこれで終わりではない。検察通知があって間もなく、周のスマート・ホンにSMS着信。妙からの連絡であった。示談準備完了の知らせ。表向きは、周が先を焦って宙に体当たり、かすり傷を負わせたと言う事とされた。

栄町の、とある喫茶店で二弁護士を交え、再び会った妙と周。その席で、示談を成立させ、形ばかりの賠償と言う事になったが、妙はこう言った。「一応、賠償請求はするけど、実際は出世払い。君が偉くなって、いいお給料をもらえる様になってからで良いわ」 「有難うございます!早い時期に、必ずお支払いします」周は、こう返した。妙はこれを受け「実はね・・」周の耳元で囁く。「はい、何でしょう?」 
妙「君が、あたしにして欲しいお約束がもう一つあるの」 周「はい、お受けします」 妙「それはね・・」と切り出した。

(つづく 本稿はフィクションであります)
今回の人物壁紙 穂花

今連載の音楽リンクは、久石 譲さんの楽曲を載せて参ります。今回は「竜の少年」
The boy Who is Dragon
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